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grenelle165's blog

ふと考え、感じたことをできるだけ素直に綴りたいとおもいます

風のささやきが聴こえる村、モンサラーシュ

先日、アレンテージョ地方のワインのことを書いていて、10年前の夏のポルトガル旅行のことを思い出していました。

その後、仕事では何度か訪れましたが、休暇で行ったのはこの一度きりです。

当時はパリに住んでいたので、リスボンまでは飛行機でたったの2時間半。初日はリスボンに泊まり、翌日はすぐにエヴォラ経由でスペイン国境の村、モンサラーシュに向かいました。

当時、私の旅は「行きっぱなし」で、写真を撮る以外はまともな記録はほとんど取っていなかったため、どこに行ったか、どこに泊まったか、思い出せないものは写真がなければ完全に忘却の彼方です。

その日(2005年8月2日)もリスボンからエヴォラまで何で移動したか、ほとんど記憶になかったのですが、混み合うバスターミナルや車窓からの写真を見つけ、バスを使ったことをぼんやりと思い出しました。「アルゴ・ド・セゴ」というリスボン中心部に割と近いバスターミナルから乗ったようなのですが、これはかすかな記憶・・・

いずれにしても、2時間程でエヴォラに到着し、そこからはタクシーで最果ての村、モンサラーシュへと向かいました。田舎の幹線道路は空いていて、たしか30〜40分くらい、50ユーロもかからず宿の前まで着いたことを覚えています。

しかし、なぜ、そもそも初めてのポルトガル旅行で真っ先にエヴォラとモンサラーシュに行ったのか。まず、エヴォラについては、その数年前に職場の上司からいただいた山崎正和『海の桃山記』を読んで、ここを天正遣欧使節が訪れたことを知り、ぜひ自分も、当時とさほど変わらないであろう町の雰囲気を味わいたいと思ったからでした。私は天下統一物語としての戦国時代はさほど好きではありませんが、その頃の日本と西欧との出逢い、鉄砲やキリスト教の伝来、当時の日本人が驚くべき熱心さで西欧の思想や産物を吸収したこと。織田信長や西国のキリシタン大名が、国内では絶え間ない戦にさらされる一方で、積極的に外=西欧と関係を持とうとしたこと。そして天正遣欧使節の少年たちが、何ヶ月もの長旅を経てヨーロッパを訪れ、方々で歓待されたこと。これらの奇跡のような事実がなぜか心に残り、いつか、当時、日本の少年達が見た風景の一部でも追体験したいと思っていました。そこで、この旅では必ずエヴォラを訪れようと心に決めていたのです。

一方、モンサラーシュは、まさに「地球の歩き方」に載っていた紹介があまりに魅力的で是非行ってみたいと思いました。

とにかくこの日、結婚式を3週間後に控えた妻と私は、エヴォラのバスターミナルからタクシーに乗り「時間の流れから取り残されたような村」モンサラーシュを訪れたのでした。

村は小高い丘の上にあります。宿のテラスから見た景色。昨日、アレンテージョワインについて書いたときに触れた、乾いた大地にオリーブと川、どこまでも広がる地平線です。

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宿は由緒ある建物を改装したエスタラージェン(Estalagem)という種類のホテルで、その名もEstalagem de Monsaraz。木の梁が出た天井、アンティークの家具が重厚な雰囲気を出している趣のある宿でした。値段はツインで80〜90€くらいだったと思います。

Estalagem de Monsaraz - Alentejo

久々にサイトを見てみましたが、当時のままですね・・・値段は明記されておらず、予約の操作をすると出てくる仕組みのようです。当時より少し値段は上がっているのでしょうね。ここ以外にも確か3〜4軒、もう少しこじんまりしたホテルがあったと思います。

(エスタラージェンの勝手口)

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村は丘の尾根に沿って細長い形をしており、集落を挟むように片方の端に城塞跡が、もう一端に鐘楼のような建物があります。端から端までゆっくり歩いても15〜20分程度の小さな村ですが、平坦ではなく緩い坂が多いです。

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小高い場所から鐘楼越しに地平線の彼方を見つめます。日中にもかかわらず、時々聞こえる、鳥のかすかなさえずりと、遠くから時々響くエンジンの音以外は、文字通り、物音一つありません。わずかな熱気をはらんだ爽やかな風に身を任せていると、気のせいか、何かが耳元で微かにささやいているような、そんな気がしてきました。ここでは本当に「風の精」が存在しているのかもしれません。

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どこをどう歩いたかすっかり忘れてしまいましたが、村の真ん中辺りにある教会の前を通り、反対側の城塞まで来ました。

聞くと、村の闘牛場としても使われているようです。

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写真は撮らなかったのですが、たしか城塞を出たあたりに、小さいながらもいくつか手織物や工芸品などのお土産屋さんがありました。

かなり暑かったので、一度ホテルに戻ったと思います。夕食をとりに再び外に出ると夕暮れが近づいていました。

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夕食をとったレストランは"Restaurant San Tiago"だったと思います。

レストランのテラスからの夕陽。

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料理はスープや豆のサラダをいただいた後に、郷土料理(忘れてしまいました・・・)を頂きましたが、かなり塩味が効いていてボリュームたっぷりでした。

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そして一晩明けた朝のモンサラーシュ。

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朝は午後や夕方とは光の輝きと空気感が違っていて、同じところにいるのにちょっと別の場所に来たような錯覚を覚えました。

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