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grenelle165's blog

ふと考え、感じたことをできるだけ素直に綴りたいとおもいます

信州・上田への旅【おまけ:『真田太平記』の思い出と『真田丸』への期待】

今回、別所温泉上田市内を訪れ、小学校5年生の頃、テレビにかじりつくようにして見たNHKドラマ『真田太平記』のことを久しぶりに思い出しました。

別所温泉の「石湯」で浴場の大きな岩を見たとき、『真田太平記』で、草刈正雄演じる幸村と、幸村を生涯支える女忍びのお江(演:遥くらら)が石湯で出会うシーンが、ぼんやりと浮かび上がってきました。

そこから、『真田太平記』のオープニングテーマが頭の中を回りはじめ、数々の名シーンが鮮明に甦ってきたのです!

真田父子(昌幸:丹波哲郎、信幸・後に信之と改名:渡瀬恒彦、幸村)が、囲炉裏を囲みながら作戦を練っている。そこに、命がけで貴重な情報をもたらす草の者たち・・・

徳川の大軍を上田城にひきつけ、翻弄、大勝利を収める真田軍の活躍・・・

関が原の戦いで東西に分かれることが決まり、雨の中、父と弟のもとから馬で走り去っていく信之・・・

見合いの際、扇子で相手の顔を持ち上げ品定めをする高飛車な姫(演:紺野美紗子。後の信之の妻)を「この無礼者!」と怒鳴りつける信之・・・

大阪冬の陣、夏の陣。特に、夏の陣で、大きく眼を見開いて雄たけびを上げる草刈正雄の鬼気迫る迫力!そして、家康の陣まであと一歩のところに迫りながら、戦いに敗れ、神社の境内で首に小刀を当てる自刃のシーン・・・

ざっと思いつくだけでも、これだけのシーンが一気に記憶の底から甦ってきました!

自宅に戻ってから、改めてYouTubeで『真田太平記』の名場面を見返してみましたが、自分の記憶が決してぼんやりしたものではなく、かなり正確に細部を覚えていたことに驚きました。

それは、子供の素直な脳みそがスポンジのように全てを吸収したということもあるでしょうが、何よりも、役者の迫真の演技に釘付けになったからでしょう。

真田父子だけをみても、一癖も二癖もありそうな昌幸は丹波哲郎のはまり役ですし、冷静に情勢を見据えて徳川に付き、二代将軍秀忠のイジメにあいながら立派に家名存続を果たした信之は、渡瀬恒彦が見事に演じきりました。そして幸村。夏の陣、最後の戦闘シーン。「出撃じゃ~」と叫ぶ草刈さんは、これ以上ないほど大きく見開いた眼と、上ずった声音で、死を前にした狂気と恍惚感を完璧に表現しています! 

真田幸村 (真田太平記 大阪夏の陣 草刈正雄) - YouTube

 改めて、実力派、骨太の俳優たちが、一世一代の見事な演技を披露した名作ドラマと感じました。

一方で、シナリオ(および原作の歴史解釈)はどちらかというと平凡で、「領地も兵力もない一地方勢力(つまり「弱者」)が、巨大な敵(徳川)に対し、圧倒的な知力と情報収集力、一騎当千の武勇で反抗し、「日本一の兵(つわもの)」として歴史に名を刻む。しかし、冷静な信之のもと、家名存続の戦いには勝利する・・・」という、江戸時代に作られた真田像、一般に流布してきた解釈から、半歩もはみ出ることが出来ていないようです。

もちろんそれ自体は、いい、悪いの問題ではなく、真田父子と「草の者」たちの活躍を生き生きと描いた原作とドラマの価値を決して貶めることにはならないのですが、結局、上記のような真田像は、徳川の権威を傷つけないよう脚色も加えられているわけで(真田父子が相当強力でなければ、彼らに翻弄された徳川(特に二代将軍秀忠)の面子がつぶれてしまう)、結局のところ、権力者に認定された「反権力」なわけです。恐らく、講談で語り継がれてきた「日本一の兵」の影に、我々の知らない真田の真の姿がたくさん隠れているに違いありません。

再来年の大河は『真田丸』に決まりましたが、30年経っていても、『真田太平記』との比較は避けられないでしょう。その時、昨今の大河ドラマの水準を考えると、名優たちが圧倒的な演技を披露した『真田太平記』に、キャスティングや演技力で上回るのは難しいと思います。となると、ポイントは、前作(及び原作)が準拠した従来のイメージや歴史解釈をどのように塗り替え、「なぜ今、真田を演じるのか」をどのように視聴者に伝えられるかにかかっていると思います。

では、どのようなシナリオがふさわしいのか。私には分かりませんが、少なくとも、「平清盛=権謀数術に長けた入道政治家」というイメージを覆した、2年前の大河ドラマ平清盛』くらいの発想の転換は必要と思います。あのときの清盛は、まさに「貿易立国を夢見る若手ベンチャー企業の若者が、会社を短期間でメガベンチャーに成長させたが、最後は時代と折り合わず挫折する・・・」という描かれ方をしていたと思います。ドラマの出来にはかなり賛否両論がありましたが、私にとっては非常に面白く、久々に、ほぼ全ての回を視聴した大河ドラマでした。

真田丸』では、真田家と幸村をどのように解釈し、どのように描くのでしょうか。ハードルは高そうですが、大いに楽しみにしたいと思います。

 

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