grenelle165's blog

ふと考え、感じたことをできるだけ素直に綴りたいとおもいます

センス・オブ・ワンダー

今日の午後はこの本を読みました!

f:id:grenelle165:20140721195616j:plain 1999.5.10 19刷

本書は、アメリカの海洋生物学者、作家のレイチェル・カーソン(代表作「沈黙の春」)が、幼少時から自然の不思議さ・素晴らしさに触れることの大切さを説いたものです(写真入り約60ページなので読みやすいです)。レイチェルの姪の息子であるロジャーと、メイン州の彼女の別荘近くの海辺や森を一緒に「探検」した経験を基に書かれたとのことです。

「幼少時から自然の不思議さ・素晴らしさに触れることの大切さ」を、レイチェルは次のような、優しさにあふれた、詩的な表現で説いています(ひらがなの使い方も含め、翻訳も素晴しいと思います)。

 もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。

 この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。(p23)

また、自然への「触れ方」については、子どもにとって、知ること(知識を教わること)よりも感じること、情緒や感受性を育むことが大切と述べています。

さらに、大人に対しても、以下のように語りかけます。

子どもといっしょに自然を探検するということは、まわりにあるすべてのものに対するあなた自身の感受性にみがきをかけるということです。それは、しばらくつかっていなかった感覚の回路をひらくこと、つまり、あなたの目、耳、鼻、指先のつかいかたをもう一度学び直すことなのです。

わたしたちの多くは、まわりの世界のほとんどを視覚を通して認識しています。しかし、目にはしていながら、本当には見えていないことも多いのです。見過ごしていた美しさに目を開くひとつの方法は、自分自身に問いかけてみることです。「もしこれが、いままでに一度もみたことがなかったものだとしたら?もし、これを二度とふたたび見ることができないとしたら?」と。(p28)

これを自分に当てはめて省みると、たとえ、休日に「リフレッシュ」と称して、わざわざ遠くに行って自然に触れても、言った先で別のことが頭に浮かんで「心ここにあらず」の状態だったら、それは「本当にはみえてないこと」ですし、自然に触れていない、感じていないことになりますね・・・耳が痛い(泣)。過去の後悔や明日の仕事の心配に気をとられることなく、今、そこにいること、そこにいる自分自身と周囲の様子を五感を使って味わうことができてはじめて、子どものころに育まれた感性が、まさに解毒剤としての力を発揮し始めるのでしょう。

また、「自分が持っている全ての回路を使って、一期一会である周りの世界を感じる」という点では、都会人が遠出して自然に触れることが出来なくても(それはそれで、自然に対する畏敬の念と、良質な情緒や感性を育む上で重要なのですが)、日常生活からも十分、「自然の素晴しさ」を経験することは可能なのでしょう。今、私の隣で涼しげに鳴っている風鈴の音色や、いつも仕事帰りに通る神社の木々のざわめき、妻と一緒に作る食事やシャキッとした白ワイン、熱い湯船に浸かって両足を伸ばせること・・・レイチェルの言う感受性と、一期一会の視点から見れば、日常生活のちいさな出来事一つひとつが、いかに奇跡的で、貴重で、幸せなことであるかを気付くことができます。「地球環境」「自然保護」という高邁な視点から外れるかもしれませんが、「今に生きる感覚」「日々の生活のあらゆる場面に喜びを見出す感受性」こそ、広い意味でのセンス・オブ・ワンダー=あらゆるものに奇跡を感じる力であると言って差し支えないでしょう。

人間を越えた存在を認識し、おそれ、驚嘆する感性をはぐくみ強めていくことには、どのような意義があるのでしょうか。<中略>わたしはそのなかに、永続的で意義深い何かがあると信じています。地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまされることは決してないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとにであったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たな慶びへ通ずる小道を見つけだすことができると信じます。地球の美しさについて深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで、生き生きとした精神力をたもちつづけることができるでしょう。(p50)

小さい頃に、ほんのわずかでも「センス・オブ・ワンダー」を育むことができ(ほぼ全ての人が持っていると思います)、それを大人になっても思い出し、心の支えにすることができれば、不幸(と思える)出来事があっても、他人や周りのせいにすることなく、自分の知恵と工夫と優しさで乗り越えることができるでしょう。自分はまだまだそこまで達していませんが、子どもの頃に「センス・オブ・ワンダー」を授けてくれた両親や家族、大人になって、実は自分がそれを失っていなかったことに粘り強く気付かせてくれた妻、その他多くの友人たちに心から感謝したいと思います。

 

センス・オブ・ワンダー

センス・オブ・ワンダー